1自律神経失調症について。
①交感神経について
②副交感神経について
③自律神経失調症の症状
➃自律神経で大切なのは交感神経・副交感神経のバランス
②五臓の働きについて
③自律神経失調症へは経絡経穴へ鍼灸治療
4小児の症状への施術(かんむし)
まず初めに自律神経の働きについて説明して行きます。
自律神経は、身体を守るため内臓や血管などのはたらきを24時間、休まず調整してくれる神経です。自律神経には交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことによって成り立ちます。
交感神経と副交感神経のふしぎについて書いていきます。
私たちの体温が36,5℃前後の範囲で一定に保たれているのは。体を正常な状態にするようにコントロールされているからです。これを恒常性(ホメオスタシス)と言います。
自律神経はこの恒常性を保つために重要な役割を果たします。。
交感神経と副交感神経は、お互いがバランスを取りながらはたらくことによって、体を良い状態に保っています。
交感神経と副交感神経は1年365日休まずはたらいています。どちらか一方だけが働いている訳ではありません。その場の状況に応じて交感神経、副交感神経双方が働いています。
交感神経は、心と体が興奮のときに優位にはたらきます。例えば、運動や緊張しているときなどは心拍数が速くなったり血圧が上がったりしますよね。それ以外にも以下のようなはたらきがあります。
・脳血管を収縮
・瞳孔の拡大、涙の分泌を抑制する
・唾液が出づらくなる
・気管支を拡張
・心拍数を増やす
・消化を抑制する
・排便・排尿を抑制する
・汗を分泌して体温を下げる(暑い時)
・鳥肌を立てて熱を発生させる(寒い時)
・末梢血管を収縮させる
交感神経がはたらく時
・日中
・興奮したとき
・強いストレスを感じたとき
・緊張したとき
・不安を感じたとき
・危険を感じたとき
・忙しい時
私たちは快適な生活を送るために、本来は日中に交感神経が働く様にできています。交感神経は決して悪いものではありませんが、私たちの生活の中には交感神経が過剰に働いてしまうタイミングがある事を、頭の片隅に入れておきましょう。
副交感神経は、体と心がリラックスしたとき優位にはたらきます。リラックスしているとき、体の力が抜けて脈が落ち着き、眠たくなるのはこのためです。その他にも副交感神経は消化の働きを促し、食べ物を上手く消化して排便排尿をスッキリ行えるのは副交感神経のおかげです。
・脳血管を拡張させる
・瞳孔を収縮させる
・サラッとした唾液を出す
・気管支を収縮させる
・心拍数を減らす
・消化を促進する
・排便・排尿を促進する
副交感神経がはたらく時
・眠っているとき
・リラックスしているとき
・食後にゆっくりしているとき
・癒しを感じたとき
夜になると眠くなるのは、副交感神経が正常に働いているからです。自律神経のリズムを乱す原因に夜勤や昼夜逆転、暴飲暴食などの生活が挙げられます。
日常生活はストレスで溢れていますね。強いストレス状態にさらされると交感神経が過度に働き、興奮状態になり不調につながります。症状としては首肩こりや頭痛、動悸など。
副交感神経はリラックスの印象が強く体に良いと思われがちですが、 働きが強すぎたり適切なタイミングではたらかなかったりすると不調の原因になります。症状としてはめまい、朝起きられない、冷え性など。
・頭痛(片頭痛)
・涙が出る
・徐脈(脈が遅くなりすぎる)
・だるさ・朝起きられない
・冷え性
・頭痛(緊張性頭痛)
・眼精疲労
・ノドのつかえ
・口が乾く
・動悸、息苦しさ
・便秘、下痢
・腹痛
・体のほてり(熱がこもる)
・緊張状態、首肩こり
・不眠、多夢
・多汗症
・不安感
・食欲不振
・耳鳴り
交感神経・副交感神経はどちらが良いという訳ではなく、両方が状況に応じてバランスよく働くのが理想的です。
日中の活動時に集中したい時は、交感神経が優位になり興奮モードが正常で、夜休んで疲れを取るためには副交感神経が優位になりリラックスモードになることが必要です。しかし慢性的な緊張状態になりストレスがかかると夜も眠りにくくなります。これが積み重なると交感神経と副交感神経のバランスが乱れ自律神経失調症につながるのです。
自律神経のはたらくルート
交感神経と副交感神経では、体内を通るルートが違います。交感神経は背骨付近から出た後お腹側に回り、体の各器官に分布します。副交感神経は、首の後ろの骨付近から出て体の各器官に分布するルートと、骨盤の後ろから出て腸や膀胱・生殖器に向かうルートがあります。
はじめに東洋医学の「氣・血・水」についてお話をします。
「氣・血・水」は身体を守るため内臓や血管などのはたらきを24時間、休まず調整しています。氣・血・水と自律神経は共に恒常性(ホメオスタシス)を維持するために働きます。
①「氣・血・水」の働きについて。
氣について
気力、体力、呼吸、体温、免疫力の調節。
血について
飲べ物のエネルギーを全身に送る。(血液循環)
水について
全身の水分調節(汗、排尿排便)
五臓とは東洋医学の「肝・心・脾・肺・腎」五つの臓を指します。五臓は西洋医学での臓器とは違い、身体の作用とは別に精神的な作用としても働くのが特徴です。五臓での精神的な作用が、自律神経失調症を整えるのに重要な役割を果たします。それでは五臓について説明して行きます。
【肝について】
東洋医学での肝は肝臓の働きだけではなく、怒りや積極性、精神的なストレスなどに作用します。また「肝は血を臓す」と言い、全身の血液量をコントロールし、必要とする所へ血液を分配しています。色では青色が肝と関係し、肝の症状があらわれると顔色が青白っぽくなります。
肝は全身の気血を巡らせ、精神状態を安定させる働きがあります。全身の気血の流れが良くなると、睡眠・食欲などが安定します。
「肝は筋をつかさどる」と言われ、手足や筋肉が自由に動くのは肝が正常に働いているからです。また「肝は目に開竅する」と言われ 目がよく見えるのは肝の働きが正常で血の巡りが良いからです。因みに眼球のレンズの遠近調節や目に入る光量の調節は自律神経によって行われています。
肝が弱った時の症状
不眠多夢・眼精疲労・手足のしびれ・イライラ・肩こりなどの症状が現れやすくなります。
肝は怒りやストレスと関係が深く、怒りやストレスが肝の働きに異常をきたします。この怒りは単に怒ることだけではなく、我慢する、多忙などのストレスの掛かること全般を指しています。
【心について】
東洋医学での心は循環器の働きだけではなく心(こころ)、や精神に作用します。「心は五臓六腑の大主にして精神の存するところ」といわれ、心は精神作用のすべての作用、感情、感覚などをコントロールしています。
心は血液循環をつかさどり、五臓六腑に絶え間なく血液を送ります。また舌や汗などとも深く関係しています。舌には血管が豊富にあり、血液の状態が舌に現れやすいためと考えられます。「汗は心の液」といい、心の状態で汗の分泌量が変わります。心の色は赤色で、心が充実していると顔色は血色のいい赤になり、不足すると蒼白となります。
心が弱った時の症状
動悸・息切れ・胸苦しさ・発汗異常・不安感・不眠・記憶力・集中力の低下・手足の冷え・めまいなどの症状が現れやすくなります。
心は全身の司令塔なので、心の異常は他の五臓の不調も招きやすいです。また心の不調が長引けば、うつや不安症等の精神症状へと進んで行きやすくなります。心は否定的な考え、神経や気を使ったりする事により弱ります。
【脾について】
東洋医学での脾は脾臓の働きだけではなく、食事を消化吸収し消化器全体を統括する司令塔として働きます。 体に必要な栄養物「氣・血・水」を作り出します。これを「水穀の精微」と言います。また脾は物事を「考える、思う」などの時にも作用します。
脾は食事を消化吸収し四肢や筋肉などにエネルギーを送ります。食事から作られるエネルギーは全て脾が作り出していると言えます。脾の状態は唇にあらわれ、脾の状態が良くなると唇の色にツヤが出ます。また色では黄色と関係し、脾が弱ると皮膚が黄っぽくなります。
脾が弱った時の症状
食欲不振・倦怠感・腹部膨満感・腸鳴・便秘、下痢、痩せる・抑うつなどの症状が現れやすくなります
脾が弱る原因としては、物事を思い悩み過ぎたり、考え事が多かったりするなどがあります。また身体を冷やす飲食物の過剰摂取、暴飲暴食、長時間の座り仕事なども脾に負担が掛かります。
【肺について】
東洋医学での肺は呼吸器の働きだけではなく「肺は気をつかさどる」といい、全身の呼吸と気をつかさどる臓で必要な空気を取り入れ不要な空気を排泄します。また気と同時に水分も全身へと循環させます。精神作用では悲しい・憂うなどの感情が作用します。
「肺は皮毛をつかさどる」といい皮膚と関係が深く、皮膚呼吸や発汗などにより体温調節を行い、外邪からの防御作用も担っています。色では白色と関係し、肺が弱ると皮膚が白っぽくなります。
肺が弱った時の症状
多汗症や無汗などの発汗異常・気管支炎・喘息・むくみ・鼻炎などの症状が現れやすくなります。
肺は身体表面の防御作用に働くため皮膚を強くする必要があるので、運動不足や夏のクーラー、冬の暖房やカイロなどに頼り過ぎると肺が弱りやすくなります。
【腎について】
東洋医学での腎は泌尿器の働きだけではなく「腎は精を蔵す」といい精(成長、発育、生殖)をつかさどります。なので腎が不調になると、老化現象が起こりやすくなります。色では黒が関係し腎が弱ると顔色が黒ずんで来ます。精神作用では恐れ・驚きなどの感情が作用します。
「腎は骨をつかさどる」といい。骨の成長や発育も腎が働きます。また腎は聴覚とも関係しています。腎は「二陰」とも関係があります。「二陰」とは尿道を含む性器と肛門の二つの口を指します。 よって腎は、生殖機能と排尿排便の調節にも関係します。
腎が弱った時の症状
むくみ・骨粗鬆症・便秘・下痢・頻尿・尿漏れ・難聴・耳鳴・早漏・遺精・夜間尿・インポテンツ・冷え性などの症状が現れやすくなります。
腎の精神作用は恐れ・驚きなので、このような体験をすると腎が弱ります。「腎は先天の本」と言われ生命力の根源と深く関わるので、過労や睡眠不足など疲れの残りやすい習慣は腎に負担が掛かりやすくなります。また日常的に身体を冷やし続けても腎が弱ります。
東洋医学では五臓の弱りが自律神経失調症を引き起こすと考えます。五臓の弱った場所に鍼灸を行い自律神経失調症を整えます。鍼灸(しんきゅう)をする場所は経絡経穴(けいらくけいけつ)と言います。
(五臓についての詳細は上記(2自律神経失調症への鍼灸治療。ー②五臓の働きについて)を参照下さい。)
経絡経穴(けいらくけいけつ)について
東洋医学では、わたしたちの身体には「氣・血・水」の巡るルートが全身にあると考えます。このルートを経絡と呼びます。このルート上にある治療点を経穴と呼びます。いわゆるツボです、このツボに鍼灸治療を行います。経絡と経穴2つ合わせて経絡経穴と言います。因みに「氣・血・水」は五臓が作り出します。
自律神経失調症が整う理由としては、五臓と経絡経穴は内と外で密接につながっています。経絡経穴に鍼灸をする事により、五臓にエネルギーが伝わるからです。下図参照
※五臓(内)で経絡経穴(外)です。
肝の経絡経穴
肺の経絡経穴
心の経絡経穴
腎の経絡経穴
脾の経絡経穴
ご自宅、オフィス、施設へ伺います。
体調不良で外出が出来ない方、その他の理由で外出が出来ない方往診で伺わせていただきます。
かんむしとは(赤ちゃん~小学生に起こるストレス症状(夜泣き、イライラ、叫ぶ、斜視など))
※かんむしの施術は子育て特別料金1,100円。
自律神経失調症の施術において最も大事なことは氣の流れの調節です。やり方は脈診や腹診で氣の流れを見極め経絡へ鍼灸を行います。氣の調節には髪の毛程の細い鍼で行うため痛みが無いのが特徴です。脈診や腹診による氣の調節は難しく、技術の習得には長い年月が掛かるため、氣の調節を行える鍼灸院が少ないのが現実です。当院は数少ない氣の調節を行える鍼灸院です。(痛みが無い針◎ 痛い針×)